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日原いずみ

あいちトリエンナーレについて


まず、8月5日投稿分

jbpress.ismedia.jp

 

🌟今いろいろ忙しいので(でも書きたい)、この投稿へのご返事は控えます(知らない人からのコメントが恐いので友達までの公開にします)。
あいちトリエンナーレの問題、一昨日の投稿に多数の素晴らしいコメントをいただき、そこでのやり取りで私の思いはだいぶ書いたので、その後の見解に興味を持っていただける方はお目通しください。

私はこの記事のすべてを理解できてないけど(「風の旅人」の佐伯編集長から知りました)、津田さんに関しての「素人が間違った椅子に座っているように思いました」や「胆力がない」には同感です。
このまとめも。

〈「あいちトリエンナーレ2019」コンセプトは、まさにこの「ポストトゥルース」のアイコンを「アート」あるいは「作品」と勘違いする、ジャーナリスティックな誤解が、今回の問題を生み出した、真の原因と私は思います。〉

私も批判したけど、すぐにやめてしまうのはまた違う。
安易な批判ではなく、覚悟の問題で、芸術なめるな、と言いたい。

私は過去、2年間、ある大企業が主催するアートアワードでグランプリだった現代美術作家のアシスタントをしていました。その人が画材として豚の血を使っていたことから、タブーや偏見への挑戦がいかに難しいかを身を持って体験しました。
企業がスポンサーとなってくれる大規模な展覧会で原爆ドームを模した作品を構想したけど、実現には至りませんでした。
その人の原宿でのパフォーマンスに警察が来たこともあったし、冷凍車で氷の作品を運搬していたら、中国人の密入国者の手伝いをしていると疑われて、アトリエに刑事が来たこともありました。

私自身は、初めての小説が講談社の新人賞で最終まで残った時に、屠殺の場面を描いていたことで同和問題に関わるとして、編集長から受賞し、活字になった場合にいわれのない攻撃に遭う恐れもあるが、大丈夫か?と覚悟を聞かれたことがあります。

つまり、芸術や小説は本気でやろうと思えば命がけです。
今回、アーティストには命がけの思いがあったと思うけど(私はよく取り上げられている少女像は作品としてはよいものだと思っていたけど、それ以外の中には水準に疑問を感じるものもあった)、津田さんはどうだったのか、もちろん、芸術監督はつくり手ではないのでそこまでの覚悟はなくてもいいかもだけど、だったら安易に(本人にそのつもりはなくても結果的に)声をかけるな、と思います。

河村市長の弁は論外、大村知事は視察の後での呑気な写真に覚悟など窺えないし、二人の元々の関係性が一層ややこしくしている。

また、この問題は、過去の9年間、「夏休みに子どもたちがアートに触れる機会を」という感じに学校からチラシをもらってくるイベントだったので、しみついたその感覚と、今回中止になった一部の展示との乖離に大きな違和感がありました。
不自由展、この場じゃなくてもいいのに、と。
今回中止となった作品がネットを通して拡大されて伝わる方々への印象とは違うと思う。

とにかく気持ちがまとまらないし、まとめる必要もないけど、その後の意見の一つとしてまた。
いつもなら表現の自由を守る側で声をあげるけど、そうじゃないのは、そもそもの覚悟みたいな点で、この問題はとても複雑だと思います。

 

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いただいたコメントでいちばん共感したもの。

☆ちなみに大学時代にお世話になったテレビ局のアナウンサー~コンプライアンス職を経験した方。

 

<まず、展示には反対です。思想信条とは別に、公的機関がこの外交的にセンシティブなタイミングで展示するものにふさわしいかどうか勘案すると、それは違うかなと思います。ただし、憲法が保障する基本的人権である表現の自由は絶対に守るべきものであったと思います。これだけ問題化した以上、そのまま展示することは難しかったと思いますが、何らかの誓約書を観覧者からとってクローズドスペースで展示するとか、表現の自由を守るための知恵を絞ってほしかった…

繰り返しますが、私は展示には反対です。ただ、展示してしまったからには・・・

今回の問題、いくつもの議論の余地があると思いますが、結局、ご自身でも言われていますが、津田さんが芸術家ではなくジャーナリストであるということに問題が帰結するのではないかと思っています。だから「覚悟」もなかったのかと。津田さんに関しては、著作権関係の問題で大いに賛同するところがあり、知人の弁護士と一緒に応援しているところでもあります。ただ、芸術家ではなかった・・・>

 

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その後、武田邦彦さんの弁などを聞いても私の感覚に近かった。

 

私なりの考えを整理すると、最初から一貫して書いているように、

①大村さんの津田さんへの依頼に疑問があった。

②津田さんは芸術サイドというよりはジャーナリストサイドで、そのズレが大きな問題となって表出してしまった。

③そもそも芸術の水準とは何か?

④ふだんの表現の自由の問題とは異なる社会情勢がある(日韓関係の悪化を考慮する必要が今はあって然り)

⑤とはいえ、中止を作家たちに相談もなく決めた姿勢は問題

 

とにかく、私には、大村さんと津田さんの甘さばかりが目立って感じられます。

河村市長の弁は稚拙では済まない愚かなもので、彼は南京大虐殺に関しても問題発言を行っており、名古屋市と南京市は姉妹都市だったのに、彼の発言のために関係が悪化しました(昨年、長男が中国に派遣されたことをきっかけに知った)。

この件をきっかけに、8月8日に豊橋市の市役所や学校関係に脅迫メールも入り、本当に大迷惑。

中枢の考えに深みが足りないことや、反応のされ方を残念に思う。