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日原いずみ

アイアンマンの中止について

 

アイアンマンの東三河での大会予定が中止となりました。
(昨年第一回が開催され、今年の第二回は中止、来年の第三回の開催に向けて実行委員会が形成され準備していたけれど中止が決定。12月9日発表)

私は昨年から疑問視していた大会でしたが、知らない方も多いので、まとめさせてもらいます。*予定が立て込んでいてすぐに書けませんでした。

まずはこの件に関する、最新の新聞記事(12月10日付中日新聞東三河版と県内版)をご覧ください。

■こちらは昨年の開催後の同じ記者(田原担当の加藤くん)のコラム

よくぞ書いてくださった、というまとめ記事でもありました。

客観的な新聞記事を予備知識として読んでいただいた後に、私自身が実際に知っている話を書かせてもらいます。

まず昨年は、大会準備や地元住民への説明も十分ではない状況、おまけに直前に豪雨による土砂崩れなどがあり、一部の道路が使えないような状況下(なんとか通れるようにして)で強行した、という印象でした。

私は現場に行ってないですが、現場に行った方々が違和感や憤りをたくさん口にしていました。
その頃に直接聞いた声をまとめます。

7時間を超える交通規制により、渥美半島ではこのようなことが起こりました。
■仕事に行けなかった ■店を閉めなければならなかった ■病院へ行けず体調が悪化した ■野菜の集荷のトラックが入ってこれなかった(出荷を諦めた) ■子どもが部活の大会に間に合わなかった ■模試に行けなかった ■高校生が早朝4時にボランティアに駆り出された(親が車で送らざるを得なかった) ■観光客が入ってこれなかった ■前日宿泊していた観光客が伊良湖から出られず帰れなかった などなど、とんでもない大会でした。

どうしてそうなったか、のわかりやすさのために、コース画像を添付します。

地域でおなじみになっている伊良湖トライアスロンとの比較

半島の先端で行うトライアスロンと、半島全体を使うアイアンマンでは交通規制の時間や、必要とされる人員の数もだいぶ違ってきます。
昨年の大会では、警備員が関西からも動員されていました。当然すごくお金がかかっていました。*田原市豊橋市が赤字を背負ったわけではない。

私はふるさとの複数の方からの悲鳴のような声を受けて、自分にできることとして、直後(昨年の夏)に、当時の豊橋市長の浅井さん、スポンサーのサーラの神野社長(お二人とも主催の側で、大会での役職あり)に苦言と希望をお伝えするメッセージやお手紙をお送りしました。

その後、来年の開催が発表され、複雑な思いでいた時に、偶然田原市長にお会いしました(7月8日)。
私はその時が田原市長とは初対面で、アイアンマンの推進側(大会の役職あり)だと思うと気が重かったけれど、直接やり取りできるチャンスだと思い、お声をかけました。
市長から「あなたは、賛成、反対どっち?」と聞かれ、「開催が決まっているので、やるのであれば、半島の方々にできるだけ迷惑をかけないようにやってもらいたい」とお伝えしました。
たまたま同じ空間でそれぞれのお客様と過ごす中で、合間に田原市長が私のところに来てくださり、お話をしてくれました。
その内容によると、「259、42号、両側を塞がないやり方でなければ警察は許可を出さないと言っているのに、〇〇さんと〇〇さん(豊橋の方々)が、両方通るコースでやれと言っている。一番苦しんでいるのは〇〇さん(田原の方)」とのことでした。
それを聞いて、私はとても残念に思いました。

半島特有の不便さ、現実として多大な迷惑を受けた住民の気持ちをわかってないと思いました。
その後、地元の要職に就く方からはこのようなご意見をいただきました。

<警察署の許可のことですが、「前回よりも大きく改善されなければ許可は出さない」
と言われています。地域の猛反対の中、許可できないということです。>

調べれば調べるほど、豊橋の経済人によって持ち込まれたような大会で(そこに持ち込んだのはWTCワールドトライアスロンコーポレーションという組織)、田原市の側からは強く希望する声を聞かず、半島の分断や不安を呼んでいると感じました。

私は8月に、一人で田原警察署の交通課長さんに会いに行き、様子をお聴きしました。
田原市長とのバッタリに引き続き、偶然に助けられたような形で、その交通課長さんは私の子育ての講座に出たことがある方だった

上記はすべて、核心に触れることは避けた書き方ですが、杜撰と言わざるを得ない大会に感じました。

渥美半島に、中心となって開催したいという人が見当たらず、半島の交通事情や人間模様を知らない豊橋の実行委員会の人が説明や交渉にあたっても、うまくいかないのは無理もない状況。

過疎化が進む渥美半島にとって、アイアンマンの大会(富裕層のスポーツ、世界へ発信、などの触れ込み)が道路整備や教育環境の向上に役立つのであれば話は違ってくるけれど、一回目は準備不足もあって想定人数の半分の選手、赤字でした。
警察も、安全のためには警備を増やしてもらわざるを得ず(警察の警備ではなく民間の警備員)、お金がとてもかかると言っていました。
*過去、知多半島で行われていた期間があったけれど、死亡事故があった翌年から中止。

詳しく書けないけれど、今回は渥美半島で、無理を感じる大会を危惧して、信念を持って動いてくれた人がいて、その方は淡々と、警察の法令遵守を指針としていました。

当たり前のことだけど、住民が困らない道路の使い方を守ってほしいということです。

来年の開催のために、実行委員会が苦心されて改善コース案を練ったり、住民への説明を実際に行ったりなど、試行錯誤を重ねていたことや、最大限の配慮を、という姿勢も漏れ聞いていました。しかし、自分のふるさとであることを抜きにしても、客観的にそもそも難しかったと思います。

大会をやりたい側の方々と、コースとして使われる側の方々に意識の開きがあり、結果的に中止に至ったかと思います。
大会を進める側だった人の中にもホッとした人がいるのではないでしょうか?

今回私は、いろいろな意味での強者と弱者の構図を感じました。
偏った聴き方はしてないけれど、渥美半島の知り合いから、賛成する声は一人もありませんでした。

将来的に、素晴らしい大会を失った、と進めたい側の方やよく知らない方は思ったかもですが、上記を現実の一端として、記録しておきます。

 

追伸:昨年の大会の前後に苦言を発信し、私にも情報をくださったKさんが、その後急逝されました。やさしさや正義感に満ちた方でした。このブログはKさんに捧げます。
ありがとうございました。