Love the Moment

日原いずみ

渥美窯陶友会 最後の作品展


【12月12日(日)午後4時まで】


■ギャラリー茶房 「田園」 

   豊橋市馬見塚町250 
   TEL 0532ー33ー5955
  
■時間 午前9時~午後5時(最終日は午後4時)

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このブログは、12月9日に書いたけど、読み返すうちに日をまたぎ、今朝の東愛知新聞です。私も信頼する田中さんの記事。

「渥美窯陶友会 豊橋で最後の作陶展」

http://www.higashiaichi.co.jp/news/detail/8928

 

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今日は、ギャラリー茶房・田園での、「渥美窯作陶展」に伺いました。
「渥美窯の火が消えた」という中日新聞の夕刊記事を見ていて(実物は両親に渡してしまい、今手元になくて正確な見出しではなくて申し訳ないですが)、終わってしまうことは知っていました。私は会長の大島さんとfacebookでつながっていて、大島さんの投稿で「最後の作品展」と知ったので、どうしても、と思い、行ってきました。渥美は私のふるさとです。

「渥美焼」の存在は知っていたものの、歴史や詳しいことは知らず、その分せめて最後に本物に触れてみたいと思いました。見てみたら、実家にもあるなあと思いました。

私が伺った時は、お当番が佐藤嘉弘さんで、佐藤さんにいろいろと教えてもらいながら、もっとお値段が高いかと思ったら、良心的な価格だったので、お茶碗を買うことにしました。

佐藤さんと(これは、茶碗を決めた後)。

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↑この写真の手前の素焼き(釉薬なし)の茶碗がいいと思ったら、佐藤さんもそれをすすめてくれて、大きさや手触りが異なる8つくらいの中から、一つ一つ手に取って、重さを確かめたり、自分がご飯を食べる想像をしながら、どれにしようか考えました。

佐藤さんが、「手に取って自分が本当に気に入るものを」と言ってくれました。

その素焼きのお茶碗は、目の前にいる佐藤さんと、私の知り合いの(両親が知っている)大島さんのお二人作で、先にどの茶碗がどちらの作品か聞いてしまうと選べなくなると思い、佐藤さんに「聞かずに純粋に感触で決めるね」と言って、いくつも持ちながらじっくり考えました。

最初は一つに決めようと思いました(今使っている茶碗も気に入っているので)。
結果選ぶものが佐藤さんの作品ではなく大島さんの作品になってしまったら失礼かな、とドキドキしながらも、佐藤さんは大島さんのことを尊重していて、お互いの信頼関係が伝わってきました。

悩みながらも、この二つだな、というところまで候補を絞り、佐藤さんに、「どちらの作品ですか?」と聞いたら、

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なんと、一つは佐藤さん、もう一つは大島さんの作品ということで、私はホッとし(笑)、「それなら、この二つとも買います!」として、お二つに決めました。

まさにご縁。知っている人だから大島さんの作品を買いたかったし、その場に今日いらしたのが佐藤さんだったから佐藤さんの作品も買いたくて、ちょうどピッタリでした。


ブレブレだけど(それがまた愛しい)、佐藤さんに撮ってもらった写真☺

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釉薬がないと技術をごまかせない人もいて、つまり、技術のあるお二人の作品で、「塗りがないと最初はご飯粒がくっつくかもしれないけど、使えば使うほど、良くなるから!」と佐藤さんに力説されたけど、それは、この夜に、実際に二つの茶碗でご飯を食べてみてよくわかりました(それはまた下に・・・)。

家で撮影した二つのお茶碗。
向かって右が佐藤さん作、左が大島さん作。
(作風が違うからそれぞれと、後からは思っても、選ぶ時は大きさや形が異なる茶碗が混ざっていて、すべてが違って感じられた)

 

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手にしっくりとなじむお茶碗二つを買って気分よく、喫茶の方でモーニングを食べていました(午後1時までモーニングメニューがあり、写真はレギュラーモーニングのポテトサンドセット。460円でドリンク付き)。

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すると、店の外を、店に向かって歩いてくる女性に見覚えがあり、入ってきたらやはり知っているお方でした。
通っているmixs.でご一緒し、私のブログを読んでくださっているKさん。

とはいえ、約1年ぶりくらいの再会で、マスク姿なのに、我ながら一見してよくわかったと、元々だけど(自分にとっては良いことばかりでもない判別能力w)人がすぐにわかっちゃうよなあ~って思ったし、Kさんにもお伝えした(笑)

うれしかったのが、Kさんが、3月末で終了した東愛知新聞の「ほおずきサロン」について、「楽しみにしていたのに終わってしまって残念です」と新聞社に電話してくださったことを教えてくれたこと。そうやって残念がってくれる方が今でもいて、ありがたいです。
Kさんは、お父さんや弟さんが渥美窯に関わっていたそうで、弟さんの作品もご立派に飾られていたのでした。
Kさんと、合流したお友達(*その方がまた私の知り合いの実の妹さんで)と、再度ギャラリーに行ったところ、一気にお客様が増えていました。
佐藤さんに「渥美半島のどの辺りの土を使っているのか」お聞きしたかったけれど、お客様に囲まれていたので、Kさんの弟さんに質問させてもらいました。

改めて勉強した資料。

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<渥美窯は、渥美の土にこだわり、焚き物も「松」にこだわり、およそ30時間焚き、1250度まで窯の温度を上げている>

 

うわ~そりゃ確かに、高齢化すると難しい、と感じました。
そして、この文章の結びに涙がこみ上げました。

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いざ買って持ち帰ったお茶碗二つを改めて。

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佐藤さんと大島さんの手によってつくられた器は、想像以上に存在感がありました。

夜、二つの茶碗の両方にご飯をよそっていただいてみたら、食べながら泣けてきました。
渥美の土や歴史や自然や、佐藤さん大島さんお二人の歴史や、渥美窯陶友会に関わったみなさまや火や手を感じました。すべて含めて「風土」というか・・・

佐藤さんがご自身の体験や語彙の中で「絶対にいいから、使うほどに良くなるから」と紹介してくれたわけが、少しわかったような気がしました。

同じワインでも、グラスや陶器で味が異なるように、不思議なことに、素焼きの茶碗でいただくと、一気にかまど炊きご飯になったかのような、ある意味原始的な(土器っぽいからか)、昔々に焼き物を発明した人類の祖先のことも想像しました。

ま、私特有の感受性で、素敵と言ってくれる人もいるけど、たいへんだな、めんどくさいな、と思う人もいるだろうし、家族からしたらスルーのこと(涙)ですが・・・(笑)

とにかく感動しました!


その夜、別件から、渥美に住む小川雅魚教授にLINEし、質問事項にもドンピシャの回答が来たんだけど(お友達から来た福江高校や野球部や寮に関する質問で、私だとわかりかねるので、知っていそうな方として雅魚さんに問いかけたら、なんと雅魚さんは野球部の寮長だそうで、これ以上のドンピシャがあろうかww)、ついでのようにして、「今日、渥美窯陶友会の最後の作品展に行ってきましたよ」と上記の感動を書いたら(同じ渥美人なのでわかり合える)、なんと、大島さんや佐藤さんのお名前が入った誌面の画像を即時に送り返してきた。

過去の書物かと思ったら、なんと、来月出版予定の雅魚氏の新刊とのこと!!

相変わらずのドンピシャぶりというか、今日の質問の答えはここ(渥美窯や佐藤さん大島さんのお名前が出てくる本。全体の内容は多岐にわたり分厚い)につながるのか、みたいな・・・

久々なのに心近い、気をつかわない雅魚氏に、

「内容は公開しないので、ブログのオチで、雅魚教授の近日出版の本に、今日のお茶碗の作者が出て来たって書いてもいいですか?」
と聞いたら、

「弟分だから許す(笑)🎵」

と。

*前々から、妹分ではなく弟分なのです。

毎日毎日偶然が多いけど、今日はまた不思議な巡り合わせ、これが渥美の風土なのか、土や人、手や火のエネルギーを感じた一日でした。