東京オリンピックのマラソン代表選手を決める、MGC・マラソングランドチャンピオンシップ、女子では見事、鈴木亜由子ちゃんが2位となり、マラソン代表に内定しました。
レース直後から、亜由子ちゃんをメインとした記事。
男女とも、どの選手も、暑い中本当にがんばったと思う。
男女それぞれのスタートの段階で、表現しようのない気持ちになり、涙が出た。
私は今回、亜由子ちゃんの家族でもないのに、緊張というか、妙な感覚に陥った。2週間前にお父さんにお会いした時はまだよかったけど、先週、お母さんとメールのやりとりをした時から涙が出て、大会が近づくにつれて増える特集を見ても、本人やご家族の気持ちを思い、泣けてきた。
自分が陸上をやっていた頃からマラソンが好きで、主要な大会をたくさん見てきたけれど、これほどまでにプレッシャーのかかる、観客にとっては見応えのあるおもしろいレースはなかったと思う。
亜由子ちゃんは、記者会見の時も今朝も、とても緊張しているように見えたけれど、誰もが苦しい中で走り切り、結果を出したことは本当にすごい。
中学時代から全国優勝をしていた選手だけど、ジュニアから大人を通して日本のトップであり続ける選手は稀有なわけで、高校時代をはじめ、何度か怪我で苦しんだ期間もあったのに、乗り越え乗り越え、とうとう、マラソン、それも自国開催のオリンピックの代表権を手にしたというのは、言葉が見つからない。すごすぎる。
オリンピックというのは4年に一回なので、そのタイミングに自分のピーク(どうしようもない年齢というタイミングやらコンディションやら)を合わせられるかどうかは、とても難しいこと。
どれだけ練習を重ねても、選考レースの今日に力を発揮できなければ代表にはなれないのだから(あと一枠あるとはいえ)、本当に厳しいことだし、本来アスリートファーストであれば、こんな暑い時期のマラソンを強いられなくても良いのにと思いながら見ていた。
だからこそ一層、アスリートにはどうしようもない決まっている仕組みやレースにおいて、注目を集める中で最善を尽くした(尽くせた)、というのは、何重にもわたる快挙だと思う。
亜由子ちゃんの様々な強さを証明するようなレースに感じた。
私は亜由子ちゃんが代表に内定したら、手放しで喜ぶかと思っていたら、意外にもモヤモヤしてしまった。
亜由子ちゃんはめでたい!!
本当に素晴らしいし、うれしい!!
想像以上に過酷なレースを目の当たりにし、男女とも、代表に内定した面々への賛美と同時に、来年の本番の8月2日開催(男子は8月9日)は、いったいどうなるのか?という気持ちになったのだ。
今後オリンピックの実行委員会みたいな組織が検討するだろうけど、今日走ってくれた全選手にリサーチなどをして、本番の暑さ対策をできる限り高めてほしい。
オリンピックの開催時期にそもそも疑問はあるが(*アメリカを中心とした巨額のテレビ放映権の関係でビッグイベント閑散期の8月の開催、水泳など時差に合わせて午前決勝)、今更どうにもならないのなら、可能な範囲で何とかしてほしい。
当然だけど、命を第一に。
選手は、与えられた大会や勝負でベストを尽くし、勝とうとする。
そのために、考えられないような量の練習をこなし、自分を追い込む。
その努力が正当に評価されてほしいので、本来そこまで受ける必要のない暑さのストレスを少しでも減らしてほしい。
過去、大学時代の先輩が、冬季オリンピックのスケルトンの代表選手になった頃、冬季種目について考えたことがあった。ジャンプにしてもソリ競技にしても、雪や風などの天候に左右され、例えば、1回目の競技と2回目の競技で条件が大きく異なってしまう場合もよくある。そんな中で実力を発揮するのが真の王者だとしても、あまりに条件が違い過ぎたら戦意すら喪失するのでは?と思ったり、条件が違ってしまったとしてもバカバカしいと思わないメンタルを持つことも代表の資質なのかなあと考えてみたりした。
夏のオリンピックは、新種目のサーフィンなどはどこまで公平にできるのか、もちろん波も運のうちだろうけれど、運で片づけられるのかなあって思ったり。
マラソンの過酷さも、考えてみれば、過去に見てきた、有森さんが銀メダルのバルセロナも、野口みづきさんが金メダルのアテネも、いかにも暑そうだったし(高橋尚子さんのシドニーも暑そうな印象だけど、南半球なので季節が逆&例外的に9月開催だったそう)、東京オリンピックに限ったことではないのかもしれないけれど、できる限りの対策はお願いしたいです。
*ちなみに、ここを書きながら思い立って調べた過去のオリンピック都市の8月の気温。
気温と湿度を考えると東京がいかに過酷か、さらに、掲載期間の間に気候変動が進み、去年と今年の酷暑は際立っていた。
かつて、レース中の熱中症でひどい目に遭い、大学で熱中症の研究を行った鯉川なつえさんもMGC以前にこのように言ってます。
選手たちは同じ条件、同じコースで勝負をし、その中で勝とうとするし、負けた場合に暑さを言い訳にはしないだろう。
だからこそ、周囲が保護しなければと思う。
サバイバルレースの中で勝ってこそ、という意見もあるだろうけど、スケート選手に条件の悪いスケートリンクでわざわざ競わせることはしないし、させるのは申し訳ないし、調律の行き届いていないピアノやヴァイオリンでコンクールを行うことはしないわけで、「条件」の段階での余計なストレスを、できる限り取り除いて、オリンピックを目標に頑張ってきた選手たちが過剰な不安や忍耐を強いられないように、なんとかしてほしいし、私も内部の方々に伝えたいと思っています。
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余談。
気づけば知り合いだらけで、瀬古さん、金さん、増田さんにもお会いしているし、男子のメイン実況は、大学時代から親しい土井アナウンサー。
他にもマスコミの知り合いたちに、豊橋にスゴイ子がいるんですよ、と話していた亜由子ちゃんが、ぐんぐん飛躍して、日本のトップ選手になり、ついにオリンピックへ。
不思議でならないし、本当に心から尊敬します。