Love the Moment

日原いずみ

見送りの思い出

 

【6月11日夜 (ビリヤードの後)投稿分】

 

あさっての朝のカイルとのお別れが今からユウウツ。私より当然、長男が、だけど。

私はテレビのAD時代に、1ヶ月一緒に仕事をした韓国人の男性スタッフとお別れになった時、成田空港まで見送りに行き、帰りの成田エクスプレスで、成田から新宿まで見事にずーーっと泣き続けた。よく泣く私だけど、あんなに長く涙が止まらなかった体験は他にない。

そのスタッフSさんは、当時、柳美里のエッセイにも登場した、突出した特徴があるわけでもないけど、穏やかで憎めない太り気味の、ちょっとユニークな人だった(私の小説の『チョコレート色のほおずき』に出てくる人)。

NHKBSの、「素晴らしき地球の旅」という番組で韓国のあるお祭りを取材し、Sさんが現地のコーディネーターを務め、そのまま日本に来て翻訳の仕事をしてくれたんだけど、彼が映像を見て、現地の方の言葉を訳し、私が文字にする作業をずっと隣り合わせてしていた。

ディレクターが厳しい人だったので、二人で結束してがんばり、無事に放送まで漕ぎ着けた。

放送直後、韓国で妊娠中だったSさんの奥さんが、予定外に1ヶ月早く出産し、そんなわけで、Sさんとのお別れも早まってしまったのだった。

Sさんは、なんかいろいろがうまくいかない人で(笑)、それも含めておもしろくて温かみがあり、なんというか忘れ得ない人で(かっこいいよりブサイク)、見送って、ゲートに消えていくまで私は笑顔だったのに、見えなくなった途端、「もしかしたら、二度と会えないのかな」と思ったら涙があふれて止まらなくなった。

吉本ばななの『キッチン』の一節を借りるのなら、「たまげた」「自分の機能の一部が壊れたかと思った」みたいな泣き方(笑)

で、結局、あれから23年、Sさんには会えてないなあ。

カイルとはまた会えると確信してるけど、またお別れ後に書くと思うけど、彼は我が家に来てくれた金髪のエンジェルのようだった

明日とあさっての少し、大切に過ごそう。
今は長男の部屋で、二人でドラゴンボール見ています😊