Love the Moment

日原いずみ

21歳差の友情

 

 

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タイトルをふと、『21歳差の友情』としつつ、「友情」という言葉について改めて考えてみた。

チ明ちゃんとは今日が初対面だったけど、ハッキリと友達だと思ったし、情もすでに感じている。

話す間、何度か涙がこみ上げ、帰りの車でも、温かい涙を流していた。

 

先週初めて作品を生で見て、その夜のうちに共通のお友達がつないでくださり、チ明ちゃんとfacebookでお友達になった。

是非とも会いたいとお互いに思い、チ明ちゃんの在廊日をお尋ねし、再度フォルムに伺いました。

 

初めて読む方のために、先週書いたブログをまず・・・

 

 

hihararara.hatenablog.com

 

 

どうしても観たい!どうしても画家さんにお会いしたい!と思うのは久々だった。

 

フォルムに着いたら、チ明ちゃんが、「ご家族だろうな」とわかる(目元の美しさが重なる)素敵な女性お二人と座っていた。聞けば、お母様とおばあちゃま。

お世辞ではなく気品漂うお二人で、そもそも、チ明ちゃんが私と21歳年の差があるので、自分はお母さんの方に年が近いのに、心はチ明ちゃん側にあったので(笑)、お母さんもおばあちゃんも、若い!綺麗!って思った。

 

その後、チ明ちゃんとサシで向き合ってお話し、まずは率直に私がいろいろとインタビューさせていただいた。

冒頭でチ明ちゃんが「簡単に言葉にできないことを絵で表現したい」と言い、そこでまず涙が出た。

この頃、感動したり、新しい学びや強い共感に出会うとすぐに涙が出る。

うれしい!とかやっぱり!と思うのだ。

 

特に最近、いろいろな人たちと、簡単に言葉にしてしまう安っぽさについて語っていて(人の知性や品性や教養がすぐに表れる。暴かれる)、チ明ちゃんの話した内容にもあったけれど、ものごとは本来単純ではないわけで、簡単に言葉にできないことにこそ真実や真理がある。そのように思う謙虚な気持ちこそ共感する。

 

また、私も創作の原点は自分にとってのマイナスのできごとだったけど、チ明ちゃんも苦しみを抱えた時期があったり、感受性が強過ぎたり、それらの、自分にとってマイナスだと思うようなできごとや感性が、表現活動をするときには武器になるという、オセロがひっくり返るような体験を実感として得ていた。

 

それを聞いて紹介したのが、柳美里の言葉。

過去に何かで読んだ話だけど、今検索したらインタビューに出てきたので、抜粋します。

柳: 東(*亡くなった過去の師匠であり恋人)が16歳の私に対して最初に言ったのは、「あなたが今まで体験したことは、実社会ではマイナスに作用することが多いけれど、表現の道に進むならば、マイナスのカードが全部プラスのカードに引っくり返る」 ということでした。「だから、あなたは自分の苦しみや悲しみを誇りに思ったほうがいい」と。

 

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この実感を持った表現者は強いと思う。

チ明ちゃんの話を聞いて(チ明ちゃんの成り立ち)、彼女の絵が不思議な魅力に満ちているわけを知る思いがした。

 

絵も小説も、描き(書き)始めるスタートラインの時点で、どんな自分であるか、という蓄積が作品を決定づけるのだと思う。

 

そして、お互い創作をしているからこその共感。

頭で描くイメージと、実際に絵や文字にしてみた時のイメージが違ってしまうことも多々だし、おもしろいと思うことがおもしろくなかったり、その逆もあったり、とにかく、かいてみて、かき進めてみて、かき上げてみなければわからない。

 

また、20代女性ならではの気持ちにも多大に共感した。

彼女と私の間の一番大きな違いは、産む前と産んだ後。

私はそれを、自分が20代に夢中になって読んだ小説や、自分の小説にも反映させた「内診台に慣れる前と慣れた後」と表現した。

もちろん、内診台はいくつになっても慣れないけれど、股を開く診察への抵抗感は、20代の子宮の病気の時の方が私は大きかった。

 

ま、その辺りも、同じような病気をしていても、大したことと思わずにやり過ごせた友達もいるので、小説1冊分を書かなければ乗り越えられなかった私の強過ぎる感受性によるのだけれど・・・(笑)

3月1日に25歳になったばかり(私は2月4日に46歳になった・・・早生まれの共感もあり)のチ明ちゃんの今は、変化の激しい時で、私も悲喜こもごも思い出深い分、共感するし、応援したい。

 

ということで、自分の小説に加え、私なりに集めて大きなバッグに入れてお持ちした(フォルムのお隣の駐車場が空いててよかった重量感w)画集や本をお貸ししてきました。

 

私の宝物や財産でもあるので(今は手に入らない70年代の小説や20年前の画集も含むので)、これこそ誰にでも貸さないけど、押しつけではなく、チ明ちゃんが気分次第で手に取って、気に入る部分だけ、チ明ちゃんの身にして欲しいなあと思いました。

 

(出かける前に撮っておいた分(笑)) 

 

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帰りの車で泣けてきたのは、20代は、いろいろが定まらないから不安だけど、いろいろが定まってないからこそ、可能性は未知数でおもしろいよなあということ。

具体的に思い出した場面もあり、例えば、夫と初めて会った日に、お見合いのように引き合わされたので(ギャグのような出会い方・・・『赤土に咲くダリア』参照w)、断るほど悪くはなかったことに喜びよりもブルーな気持ちになったこと。

もしかしたら、私の別格の夢であった結婚や家庭がこの相手で決まってしまうのかもしれないという、可能性が広がるよりも狭まるという実感。

結果的に夫はともかく、(子宮の病気をしたから余計に)欲しくてたまらなかった子どもに恵まれて、私の人生(20代の一時期は半年先の住所も定まらないような生活をしていたのに)はある面定まりました。

 

チ明ちゃんは、様々なワクワクがこれからなわけで、いかようにも選び、組み立てていけるので、本人の柱の画業を高めつつ、すべてにおいて、どうか気ままにのびのびと歩んで欲しいなあと思います。

 

私も、日常がおもしろすぎたり、ひたすら生きることに必死だったり、現在進行形で変化し続けることばかりなので、なかなかまとめきれずにいる40代の小説を、やはり何らかの形で書きたいなあと改めて思いました。

 

『21歳差の友情』と書いて、なんとなく、今日の話にも出た太宰治を思い出した(友情=『走れメロス』的な)。
チ明ちゃんは、私以上に本もたくさん読んでいて、オリジナルの言葉や、的確に言語化する能力も高くて感心した。

つくづく最近、年齢じゃないなあって思う。

どれほどの経験をし、どれだけ自分のものにするか。

 

チ明ちゃんの画業も、チ明ちゃん本人も、近い気持ちで応援しながら、ゆっくり見守っていきたいです!!