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日原いずみ

中国語スピーチコンテスト③ 私なりに思った教育や外交のいろいろ

 

自分で選択して、ではなく、子どもたちのおかげで見せてもらえる風景というのがあるけど、昨日のスピーチコンテストにまつわる色々はまさにそんな感じだった。

 

東大名誉教授の刈間先生のご講演含めて、感じることが多かったのでまとめておきます(*長く書きたかったので長いです)。

 

昨日の会場となった愛知大学は、昔から中国語や中国との交流に力を入れていて、昨日のスピーチコンテストに冠されていた「江蘇杯」というのは、愛知県と江蘇省が友好都市だから・・・。

7月に上山奨学財団からの派遣で中国に行かせてもらった長男も、江蘇省や南京市(名古屋市との姉妹友好都市・・・しかし、河村市長の南京大虐殺にまつわる発言を受けて交流が停止)の公的機関も訪問することができ、歓待していただけた。

 

スピーチコンテスト、どのぐらいのレベルの子たちが集まるのか予想できなかったけど、いざ始まってみたら、中国語がわからない私だけど、それほどレベルが高いとは思えなかった。

出場者の高校名は伏せられていたので(公平な審査のために、高校の偏差値的なレベルの先入観を入れないためかなあ?)、どんな学校の子たちが集まっていたかわからないけど(県内の中国語科や私立高校、福井県からも参加者がいたのはわかった)、スピーチコンテストの練習には時間がかかるので、いわゆる有名進学校の子たちは出ていなかった気がする(中国語を履修しないだろうし)。


うちは商業高校に進んだおかげで、バイトも含めて本当に様々な経験を積んでいて、また、いろんな方々も言ってくださるし、親の私から見ても、長男のこの1年の成長は目覚ましい。

本人の成長とともに夢も変化、成長している。

椙山女学園大学教授の小川雅魚さんとも語ったことがあるけれど、人生の中でも飛躍的に成長するような高校時代に、大学を目指すと決めた子たちは受験勉強が第一になってしまうわけで、私も経てきた道だし、次男はそういう方向に進むと思うけど、それ(仕組みや構造)って本当にもったいないと思う。

すべてがつながる話だけど、スピーチコンテストの子たち(9割近く女子)のほとんどは、スピーチよりは朗読という感じで、その辺りの審査基準は難しいけれど、原稿をもとに「話す」、というよりは、原稿を「読む」子が多かった。

フリーの自己紹介と課題文の朗読で競われるので、「スピーチコンテスト」と名前はついているけれど、朗読的な発音の正確さを重視するのか、スピーチ的な訴える力、表現力を重視するのか、、細分化された点数で順位は分かれたが、私はその辺りに、日本の語学力が伸びない理由を垣間見る思いがした。

「伝えたい気持ち」よりも「発音や文法、文章の正確さ」が重視されてしまうような教育の問題。

全体を聴いていて、途中からはみんな似通って聴こえてしまい、飽きも出てきた中、原稿なしの長男は、文句なしにかっこよかった。

会場のみなさんが静まり返り、引き込まれて真剣に聴き入っているのがわかったし、私以外の方からもそういう印象を聞いた。

ちょっと早口にはなっちゃったけど、大きな声で堂々と、会場や審査員を見ながらのスピーチはお見事だった。

 

親バカ承知で、ただ、作家的観点での客観性は常に持っているつもりなので書かせてもらうと、いつも舞台上で緊張しない長男のメンタルの強さを改めて感じた。

「負けないメンタル」

日本の外交に必要なのはそれだと思う。

長男を見ながら、日本の外交官や外部大臣、首相もこうあって欲しいと思った。

日本、いつも外国相手に媚びたり負けたりしてるように感じませんか?
かつて、衆議院議員選挙にも2回出た近藤剛さん(外交官の父のもとで育った東大卒の国際弁護士)が、日米の、ある公的な重要な場面で通訳をした経験から、「日米双方の通訳の手腕によって、関係性が変わることがよくある」と話してくれたことがあり、国家間の外交の最前線に立つ人の能力やパーソナリティーというのは本当に重要だと実感した。

 

私たちが長男のような高校生だった頃の日本や世界と、現在の日本や世界は大きく変化している。そのことを、昨日登壇された駐名古屋中華人民共和国総領事の記念講演や、東京大学名誉教授の刈間文俊さんのご講演からも感じた。

というわけで、ここに記録しておきたい、刈間さんのお話より・・・

 

刈間さんのお名前を検索すると色々記事が出てくるけど、最初にご紹介としてこの記事を・・・

www.academyhills.com

 

 

このお写真よりお年は召されたけど、体型としては太っていて、最初は日本の方に見えなかった。

壇上に立ち、日本語を話した後、流ちょうな中国語も披露され、「おもしろそうな人だな」と思った。

実際に、お話がとてもおもしろかった!!

パワーポイントでわかりやすくまとめてくださったので、画像を引用させていただきます。

以下は、刈間先生のお話から私が受けた印象で、私というフィルターを通してのまとめと思ってください。

 

*私自身もそうだけど、自分の講演を他の方がまとめるというのは、私の考えがダイレクトに表出するわけではないので、その辺りには慎重でありたい。

 

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(私の感想)

2018年は日中(中日)平和友好条約40年で、これまでの歴史から比較すると、日本と中国は現在友好な関係にあるのだろう。

とはいえ、慢性的に中国からの挑発は受けているし、最近もある大手新聞が「中国のプロパガンダ的な役割を担っている」と報じられたし、友好的なことを書くと、「中国側に立っている人」みたいな受けとり方をする人がいるけれど、そういう政治っぽいことは抜きにして、ニュートラルな気持ちで読んでください。

 

 

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(私の感想)

自分たちが教科書で学ぶような頃は、日米貿易摩擦、という言葉がハッキリあるほど、世界における日本の経済的地位は高かった。今は、日米(米日)から、中米(米中)に変化しているんだなあと実感。

中国が世界の実権を握りかねないことをアメリカやトランプが警戒していて、もちろんその動きも大事だけれど(詳細を書けるほどではないけど、中国の問題点もわかる。しかし、アメリカだってハナから問題大)、人口や国の規模からしても中国の台頭はやむを得ないと思った。

 

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世界の中で、日本人が海外に行く数が減り、今はとにかく中国人が増えている。

上記のような3000万人ほどの移動はすべて経済活動を伴う。

「東アジアは豊かだ!」というのはそういう意味。

 

 

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刈間先生の専門は映画史で、この、阿部寛染谷将太も出た中国映画『空海』の日本語版の監修・翻訳を担当。

映画史から読み解く世界経済も興味深かった。

世界の中で映画の生産数は

1位 インド

2位 中国

3位 アメリ

4位 日本

5位 韓国

 

映画産業はその国の経済状況に左右され、現在、世界の映画市場を担っているのは東アジアとアメリカだそう。

フランス映画やイギリス映画、イタリア映画というのは文化や質の面で聞くことはあっても、少ないという事実に驚いた。

EUが難民の問題で困っている間に、経済面でも文化面でも世界の勢力図は変化した様子。

 

私の高校時代と言えば、憧れはアメリカやヨーロッパだった。

しかし、そういう映画の側面から見ても、今の高校生たちや世界の若者が憧れたり、目指す先が変化するのは当然だと思った。

 

かわり映えしないアメリカにも、活力が低下しているかのようなヨーロッパにも夢が持ちにくい。

かといって、日本から東アジアに向かう動きも少ないわけで・・・

中国をはじめ、東アジアが日本に向かう数が増え、それは、長男を通しても感じていた。

 

長男が中国に行った時に出会った若者層の、日本への憧れの話。

断片的に言えば、日本語を習う高校生たちがアンジェラ・アキの『手紙~拝啓十五の君へ~』を合唱してくれたこと、ドラゴンボールなど日本のアニメで日本語を覚えた中国人男子が複数、長男との会話の中で、「お前の名前はなんですか?」と、アニメで使われていた「お前」を正しいと思って使ってきたこと(笑)

長男はさりげなく「<お前>は丁寧な言い方じゃないから使わない方がいい」とお伝えしたそう。

そんな風に憧れられたら、日本人の若者だってうれしくなって当然。

私たちがかつて、アメリカやヨーロッパの若者に憧れちゃったみたいに。 

 

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こちらで紹介されたミュージカルツアーの具体例もおもしろかった。

劇団四季の稽古や映画の撮影現場を見学したり、下北沢の例えば「スズナリ」みたいな小劇場の見学まであるそうで、マニアックでセンスのいいツアーを組んでいるらしい。 

 

時間に限りがある講演だったのでこの辺りでまとめに入ったけど、刈間教授がおっしゃった、

「言葉は入り口や道具です。中国語を学んで、その先で友人をつくること、人を知ることを大切にして欲しい」

ということと、総領事が最初に話した

「国の交わりは国民の親しみである」

という言葉が重なり合った。

 

南京大虐殺の受けとめ方一つをとっても、中国人のお友達が言っていた「中国は偏った教え方をし過ぎ、日本は教えなさ過ぎ」(教科書で取り上げているページ数が露骨に違う)にもうなずくし、私は日本政府にも中国政府にも賛同できない。

 

インターネットの登場により、官同士、民同士の意識に乖離ができていると思う。

 

昔の負のできごとについて、引っ張り出して正しさを追求する動きも双方の国にあるけれど、次世代の若者たちはその観点に立っていない。

 

夫婦関係でよく言われる「正しさよりやさしさを」を国家間にも応用できたらいいのに、人間は、世界は複雑すぎる。

 

それすらも中国の戦略という声もあるけれど、私は若者たちが純粋に日中の交流によって、国を超えた友達となり(今ではネットでつながりを継続できるし、長男の今回のスピーチのための土台となった発音は、夏に中国で知り合った年上の専門学校生にボイスメールで教えてもらったことも大きい)、政府やニュースの言うことではなく、人として、地球人としての心を信じ合えること、それを応援したい。

 

なぜ世界が複雑化するかと言えば、「金」や「資源」「支配欲」の問題が大きいわけで、そんな大人の事情、早く終わりが来て欲しい。終わらないとわかっているけど・・・

 

具体的に中国人によって迷惑を受けた人たちの話も知っているけど、中国人の友達も言っていた通り「中国人は」とか「アメリカ人は」 と一括りにするのは、どの国に関してもよくない、と私も思います。

 

 

刈間教授が自分の体験(若い頃、中国の有名作家にお手紙を書き、返事をいただいた体験)をもとにシメとして高校生、大学生に伝えた、

「若い時に立派な方に会ってください。美術品や芸術と同じです。若い時に、いい方とたくさん出会ってください」

という言葉に感動して涙が出そうになった。全く同感。

 

私も自分なりの知識や経験を講演や講座としてお伝えしているけれど、刈間教授はまさに「知識と経験」の宝庫だった。「知の伝達者」だった。

 

大学受験の問題点を上の方で書いたけど、東京大学卒の人には、親しい人たちも含めて、「スゴイな!」って人が多数いるのは確か。

仲良しの植島啓司さんも、チームラボの猪子寿之さんも、肩書きをつけられない落合陽一さんも・・・

東大くらい無理なく入れちゃって、その先で生かされる知や感性や能力なんだろうなあ~

 

話があっちこっち行ったけど、とにかく、私たちが高校生の頃と長男が高校生の今、世の中は明らかに変化している。

変化を前向きにとらえて、たくましく歩んでいってほしいです。

上で紹介した「アカデミーヒルズオピニオン」のHPに出ていた言葉より・・・
ビジネスパーソンに求められるものは「自分で考える力」、そして「考える」ためには教養が必要です。>

まさにその通り。
来賓の名誉教授のお話が、ありがちな退屈なものではなく「おもしろかった!!」というのがすごくうれしかった(長男も満足していた)し、文化的な素養を持つ人が語ると、政治や経済の話が一気に興味深くなるし、豊かになる気がした。


おもしろい子どもが増えるためにも、世の中をおもしろくするためにも、まずは大人がおもしろく、豊かな視点で生きなくちゃって思います。

 

 

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おまけ。

スピーチコンテストと講演までのお昼休憩が予定より長くなり、愛知大学近くの笹島グローバルゲートで食事しました。

 途中で、あ!ココ、豊川堂やガレージが入ってるところだ、と気づいて撮った写真。

豊橋が本部の二店。

 

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名古屋が全然わからないけど(東京に住んでいたとは思えないほど今では人混みが苦手でw)、おしゃれスポットのおしゃれ空間でした!